浸水想定区域の相続不動産は売れる?ハザードマップと売却の注意点|加須市
加須市で実家や土地を相続し、その不動産が浸水想定区域に入っていると、「売れないのでは」「価格が大きく下がるのでは」「買主へどこまで説明すればよいのか」と不安になることがあります。
結論からいうと、浸水想定区域に入っていることだけで、不動産が売却できなくなるわけではありません。一方で、宅地建物取引業者が売買・賃貸の重要事項説明を行う際には、水防法に基づく水害ハザードマップを使って対象物件のおおむねの位置を説明する必要があります。
加須市は利根川、渡良瀬川、荒川など複数河川の氾濫を想定した「水害時の避難行動マップ(洪水ハザードマップ)」を公開しており、河川別の浸水深や浸水継続時間なども確認できます。売却前は、ハザードマップ上の表示と実際の浸水履歴、建物の対策、保険内容を分けて整理し、分かっている事実を正確に伝えることが大切です。
先に結論|浸水想定区域の相続不動産で確認する5項目
- 加須市が公開する最新の洪水ハザードマップ
- 想定浸水深・浸水継続時間・影響する河川
- 実際に起きた浸水被害の有無と修繕履歴
- 床高・電気設備・排水など建物側の状況
- 火災保険の水災補償と売却条件
浸水想定区域でも不動産は売却できる
洪水ハザードマップで色が付いているからといって、法律上その土地や建物を売れないということではありません。実際の売れやすさや価格は、浸水想定だけでなく、駅・道路・周辺需要、土地の広さ、建物状態、実際の被災履歴、買主の利用目的などを含めて判断されます。
反対に、区域外だから「水害リスクはない」と説明することも適切ではありません。国土交通省も、水害ハザードマップ上で浸水想定区域に該当しないことだけをもって、水害リスクがないと相手方が誤認しないよう配慮することを求めています。

重要事項説明では何を説明する?
宅地建物取引業者は、不動産取引時の重要事項説明で、水防法に基づいて市町村が作成した水害ハザードマップを提示し、対象となる宅地・建物のおおむねの位置を示す必要があります。
使用するのは、市町村が配布している印刷物や市町村ホームページに掲載されているもののうち、入手可能な最新のハザードマップです。ハザードマップに避難場所が記載されている場合は、その位置もあわせて示すことが望ましいとされています。
ここで大切なのは、「宅建業者がハザードマップ上の所在地を説明する義務」と、「売主が知っている実際の浸水被害や修繕履歴を伝えること」を分けて考えることです。過去に床上浸水があった、電気設備を交換した、基礎や床下を修繕したなど、売却判断に影響し得る事実を把握している場合は、仲介会社へ正確に伝え、契約書類等へ適切に反映します。
加須市の洪水ハザードマップはここを見る
加須市は、利根川・渡良瀬川・荒川など、加須市が浸水するおそれのある河川の氾濫を想定した「水害時の避難行動マップ(洪水ハザードマップ)」を公開しています。複数河川の氾濫の影響を受ける場所では、より深い浸水深が表示されています。
現在、市公式ページには令和7年度版の水害時の避難行動マップが掲載されており、河川別の浸水想定区域図も確認できます。また、加須市防災マップでは、河川別の浸水深、洪水発生から水が到達するまでの表示、浸水してから水が引くまでの時間なども確認できます。
1.対象物件の浸水深
まず、対象物件の位置に表示されている想定浸水深を確認します。浸水深が異なれば、1階居住部分、設備、車、避難方法への影響も変わります。色だけで判断せず、凡例と数値を確認してください。
2.どの河川の影響を受けるか
加須市は複数河川の影響を受ける地域があるため、「洪水リスクあり」だけでは情報が足りません。利根川、渡良瀬川、荒川など、どの河川が氾濫したケースで浸水が想定されているかを確認します。
3.浸水継続時間
同じ浸水深でも、水が比較的早く引く場所と、長時間浸水が続く場所では、生活再開や建物への影響が異なります。加須市防災マップでは浸水継続時間を確認できるため、売却資料を整理するときにも参考になります。
4.避難場所と避難経路
ハザードマップでは避難場所も確認します。ただし、避難場所は適宜見直されるため、実際の防災行動では加須市が公開している最新の避難場所情報を確認してください。
5.区域外表示も「安全保証」ではない
加須市自身も、水害時の避難行動マップで浸水が想定されていない場所でも浸水する可能性があると案内しています。地図の色が付いていないことだけで「絶対に浸水しない」と説明しないことが重要です。
ハザードマップと過去の浸水履歴は別に確認する
ハザードマップは、一定の想定に基づいて将来の浸水リスクを示す資料です。一方、実際にその住宅が過去に浸水したかどうかは「実績」の情報です。両者は同じではありません。
売主側で過去の被害を把握している場合は、次のような資料を整理しておくと説明しやすくなります。
- 罹災証明書・被災証明書などが残っているか
- 保険金請求をした記録があるか
- 床・壁・断熱材・電気設備等の修繕記録
- リフォーム工事の見積書・請求書・写真
- 浸水した高さや範囲が分かる写真・メモ
- 雨水・排水設備や止水板など、その後に行った対策
近隣住民から聞いた話だけで「この家は浸水した」「ここは絶対に浸水しない」と断定するのは避けます。確認できた資料、本人や家族が把握している事実、未確認情報を分けて記録してください。
建物側で確認するポイント
床の高さと基礎
道路や敷地から1階床までの高さ、基礎の構造、低い場所に開口部がないかなどを確認します。浸水想定深と建物床高を単純に差し引くだけで被害を断定することはできませんが、買主が建物の使い方を考える材料になります。
電気・給湯・空調設備の位置
分電盤、給湯器、室外機などが低い位置にあるか、高い位置へ移設されているかを確認します。既に浸水対策を行った設備がある場合は、その工事資料を残しておくと説明しやすくなります。
排水・雨水設備
側溝、雨どい、雨水ます、排水ポンプなどの状態も確認します。外水氾濫だけでなく、強い雨で排水が追いつかない内水氾濫もあるため、洪水ハザードマップだけですべての水害を判断できるわけではありません。

火災保険は「水災補償」が付いているか確認
洪水や豪雨による浸水被害は、契約している火災保険に水災補償が付いている場合に補償対象となることがあります。すべての火災保険で自動的に水災が補償されるわけではありません。
保険証券や契約内容を確認し、水災補償の有無、免責金額、支払条件などは保険会社・代理店へ確認します。なお、洪水や豪雨による水災と、地震・噴火・津波による損害は保険上の扱いが異なります。
相続後に空き家となった場合、建物の利用状況が変わることで契約条件の確認が必要になることもあります。相続したまま長期間放置せず、保険会社へ現在の使用状況を伝えてください。
浸水想定区域の不動産を売る3つの方法
方法1|資料をそろえて仲介で売却する
ハザードマップ、過去の浸水履歴、修繕・対策資料を整理したうえで、一般の買主へ仲介で販売する方法です。区域内だからという理由だけで隠すのではなく、買主が判断できる資料をそろえることが大切です。
方法2|建物を現況のまま売却する
築年数が古い場合や、相続人が修繕費をかけたくない場合は、現況の建物状態を確認したうえで売却する方法もあります。修繕すれば必ず高く売れるわけではないため、費用をかける前に査定を取り、現況売却と修繕後売却の手取りを比較します。
方法3|買取も比較する
売却期限を優先したい、遠方で管理が難しい、建物状態や水害履歴を踏まえて一般向け販売に時間がかかりそうな場合は、買取を比較する方法があります。買取価格には事業者が負担する再販売リスクや工事費等が反映されるため、仲介の想定売却価格とは単純比較しません。
仲介と買取の違いは、相続不動産の仲介と買取の違いも参考にしてください。
浸水想定区域だから価格が必ず下がるわけではない
浸水想定区域に入っていることは買主の判断材料になりますが、「区域内なら一律○%下がる」という決まりはありません。
不動産価格は、所在地、駅や道路へのアクセス、土地面積、建物状態、周辺の成約事例、実際の浸水履歴、想定浸水深、需要など複数の条件で決まります。そのため、ハザードマップだけを見て売却価格を決めるのではなく、地域の成約事例と物件個別の条件から査定します。

避けたい3つの失敗
古いハザードマップだけで説明する
自治体のハザードマップは更新されることがあります。売却時には、入手可能な最新のものを確認します。加須市では現在、令和7年度版の水害時の避難行動マップが公開されています。
区域外だから「水害リスクなし」と伝える
水害ハザードマップは一定の前提条件で作成された資料です。区域外であることだけでリスクがゼロになるわけではありません。内水氾濫や想定を超える災害の可能性もあるため、断定的な説明を避けます。
実際の浸水・修繕履歴を曖昧にする
過去に把握している浸水被害や、その後の修繕内容は、仲介会社へ正確に伝えます。分からない事項は「被害なし」と決めつけず、「確認できていない」と整理してください。
想定事例|加須市の築古住宅を兄弟で相続
兄弟2人が加須市の築古住宅を相続した想定です。一人は遠方に住んでおり、実家が洪水ハザードマップで浸水想定区域に入っていることだけを把握していました。
まず加須市の最新ハザードマップで物件位置、浸水深、影響する河川、浸水継続時間を確認します。次に、室内外の写真、過去の保険資料、修繕記録を探したところ、以前に床下まで水が入った際の修繕請求書が見つかった想定です。
この場合、単に「浸水想定区域です」と説明するだけではなく、公的な想定と過去の実際の被害履歴を分けて整理します。そのうえで、現況のまま仲介する場合と買取する場合の価格・期間・費用を比較し、兄弟で売却方針を決めます。これは判断手順を示す想定例で、実在の相談事例ではありません。
相談前のチェックリスト
- 加須市の最新の水害時の避難行動マップ
- 対象物件の想定浸水深
- 河川別の浸水想定区域図
- 浸水継続時間
- 最新の水害時避難場所
- 過去の浸水・冠水履歴
- 罹災証明書・保険金請求資料
- 床・壁・設備等の修繕履歴
- 火災保険の水災補償の有無
- 建物の床高・設備位置
- 固定資産税納税通知書
- 登記事項証明書
- 相続関係書類
- 室内外・道路・側溝等の写真
- 希望する売却期限
すべてそろっていなくても査定相談は可能です。「公的な想定」「実際の被害」「建物対策」「未確認事項」の4つに分けて整理すると、買主へ説明する内容も分かりやすくなります。
よくある質問
Q1.浸水想定区域に入っていると売れませんか?
売却できます。浸水想定区域に入っていること自体は売買禁止の規制ではありません。ただし、買主の判断材料になるため、最新のハザードマップ、実際の被害履歴、建物状態などを整理して販売します。
Q2.重要事項説明では浸水深まで必ず説明する義務がありますか?
宅建業法上の水害ハザードマップに関する重要事項説明では、水防法に基づく水害ハザードマップを提示し、対象物件のおおむねの位置を示すことが必要です。浸水深等は買主にとって重要な検討材料になるため、マップの内容を確認しながら説明します。
Q3.ハザードマップで色が付いていなければ安全ですか?
そうとは限りません。国土交通省も、区域外であることをもって水害リスクがないと誤認させないよう求めています。加須市も、マップで浸水が想定されていない場所でも浸水する可能性があると案内しています。
Q4.昔の浸水履歴が分からない場合は?
家族の記憶、保険資料、修繕工事の請求書、写真などを確認します。確認できないものを「被害なし」と断定せず、分からないことは未確認として仲介会社へ伝えます。
Q5.火災保険に入っていれば洪水も補償されますか?
契約内容によります。火災保険に水災補償が付いている場合に、洪水や床上浸水などが補償対象になる商品があります。補償条件は契約ごとに異なるため、保険証券と約款を確認し、保険会社や代理店へ問い合わせてください。
Q6.相続登記前でも査定できますか?
査定や売却相談は可能です。実際に買主へ所有権を移転するまでに必要な相続登記を整える必要があるため、売却準備と登記手続を並行して進めます。
まとめ|浸水想定区域は「公的な想定」と「実際の被害」を分けて売却準備する
浸水想定区域に入っているからといって、不動産を売却できないわけではありません。大切なのは、最新の洪水ハザードマップで物件位置、浸水深、影響河川、浸水継続時間を確認し、実際の浸水・修繕履歴と分けて整理することです。
加須市は水害時の避難行動マップや加須市防災マップを公開しており、河川別の浸水深や水が引くまでの時間なども確認できます。区域外でも水害リスクがないとは限らないため、色の有無だけで判断しないことも重要です。
売却では、仲介と買取のどちらが適するか、修繕を先にするか、現況で売るかを査定後に比較します。先に大きな費用をかけるのではなく、資料と現地を整理してから販売方法を決めると進めやすくなります。
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※本記事は2026年9月17日公開予定です。制度・加須市の公開情報は2026年9月9日時点で確認しています。ハザードマップ、避難場所、保険商品、法令・運用は更新される場合があります。売却時は最新情報を加須市・国土交通省・保険会社・宅地建物取引士等へご確認ください。
